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素粒子物理学:直接観測された反ニュートリノと原子核のコヒーレント弾性散乱
Nature 643, 8074 doi: 10.1038/s41586-025-09322-2
ニュートリノは、物質と非常に弱くしか相互作用しない素粒子である。従ってニュートリノ実験は大型になるのが普通であって、その質量は数トンの範囲になる。ニュートリノが原子核と起こすコヒーレント弾性散乱は、しきい値のない相互作用であるため、相互作用率は大幅に増加することになり、はるかに小型の検出器が使える。この過程の研究からは、素粒子物理学の標準模型を超える物理学への知見が得られる。CONUS+実験は、原子炉内で生成された低エネルギーニュートリノを用いて、完全なコヒーレント領域でのニュートリノ–原子核弾性散乱を初めて検出するように設計された。この目的のために、高純度ゲルマニウム結晶を用いエネルギーしきい値の極めて低い半導体検出器が開発された。今回我々は、スイスのライプシュタットにある原子力発電所で行われたCONUS+実験で、3.7σの統計的有意性でニュートリノ信号を初めて観測したことを報告する。原子炉を稼働させた119日間では(395 ± 106)個のニュートリノが測定され、標準模型の物理を仮定した計算から得られた予測値(347 ± 59)イベントと一致した。精度が向上すれば、今後、根本的な発見がなされる可能性がある。従って、CONUS+の結果は、この相互作用チャネルの他の測定結果と相まって、ニュートリノ物理学の新たな時代の出発点となる可能性がある。

