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素粒子物理学:バリオン崩壊に観測された荷電–パリティ対称性の破れ

Nature 643, 8074 doi: 10.1038/s41586-025-09119-3

素粒子物理学の標準模型は、最小スケールでの粒子と相互作用の理論であり、荷電共役(C)とパリティ(P)の組み合わせ対称性の破れに起因して、物質と反物質が、異なる相互作用を示すと予想している。荷電共役は、粒子をその反物質粒子に変換する一方、パリティ変換は、空間座標を反転させる。この予想は、クォークと反クォークからなるメソン(中間子)と、3つのクォークから構成されるバリオンの両方に当てはまる。しかしCP対称性の破れは、さまざまなメソン崩壊では発見されているものの、観測可能な宇宙を構成する物質種であるバリオンではいまだ観測されていない。今回我々は、欧州原子核研究機構(CERN)における大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のビューティー実験によって収集されたデータを用いた、ビューティーバリオンΛb0からpKπ+π終状態への崩壊とそのCP共役過程の研究結果を報告する。この反応は、buまたはbsというクォークレベルでの遷移を通じて進行する。その結果、Λb0バリオンとそのCP共役である反バリオンの崩壊率に顕著な非対称性が明らかになっており、これは我々の知る限り、バリオン崩壊におけるCP対称性の破れの最初の観測結果であるとともに、バリオンと反バリオンの異なる挙動を実証するものである。標準模型では、CP対称性の破れはカビボ–小林–益川機構から生じ、標準模型を超える新たな力や粒子がさらに寄与している可能性がある。今回の発見は、標準模型を超える物理学の探求に向けた新たな道を開く。

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