微生物学:マラリア原虫に感染した赤血球上に提示されるRIFINはKIR2DL1およびKIR2DS1に結合する
Nature 643, 8074 doi: 10.1038/s41586-025-09091-y
ナチュラルキラー(NK)細胞は、抑制性免疫受容体や活性化免疫受容体を用いて、ヒト細胞と病原体を識別している。これらの受容体によるシグナル伝達は、NK細胞が活性化し、標的細胞を破壊するかどうかを決定する。KIR(killer immunoglobulin-like receptor)などの免疫受容体は、抑制性受容体と活性化受容体の対を形成し、これらの受容体は、ほぼ同一の細胞外リガンド結合ドメインと異なる細胞内シグナル伝達ドメインを持つ。これまでの研究から、RIFIN(repetitive interspersed family)タンパク質は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に感染した赤血球の表面に提示され、抑制性免疫受容体に結合して、NK細胞の活性化を抑制し、寄生虫の殺傷を低下させ得ることが示されている。一方、ヒト活性化受容体に対しては病原体由来のリガンドは特定されていない。今回我々は、抑制性免疫受容体KIR2DL1とヒトリガンド(MHCクラスI)との結合よりも強力に、KIR2DL1に結合する、一群のRIFINを特定した。この相互作用は、抑制性シグナル伝達を仲介し、KIR2DL1を発現するNK細胞の活性化を抑制する。KIR2DL1に結合するRIFINは、アフリカ由来およびアジア由来の両方の野外分離株に広範に存在することが示され、そのうち、2種類のRIFINのKIR2DL1に結合する構造が明らかにされた。KIR2DL1のRIFIN結合表面は、対を成す活性化免疫受容体であるKIR2DS1において保存されている。KIR2DL1に結合するRIFINはKIR2DS1にも結合でき、その結果KIR2DS1を発現するNK細胞の活性化を引き起こすことが分かった。この研究は、活性化KIRがNK細胞を誘導して病原体を標的にできることを実証しており、また、マラリア感染の制御において活性化免疫受容体が持ち得る役割を明らかにしている。

