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化学工学:バイポーラー膜を用いた重水素化酸と重水素化塩基の合成
Nature 643, 8073 doi: 10.1038/s41586-025-09274-7
重水素化された酸/塩基は、重水素化医薬品の合成、オプトエレクトロニクス材料の修飾、水素同位体交換反応の仲介に用いられる、高価値バルクケミカルである。しかし、従来の合成方法は過酷な反応条件が必要で、エネルギー消費量が多い。今回我々は、バイポーラー膜(BPM)における重水の解離を利用して、特に温和な条件下で重水素化酸と重水素化塩基を生成させる汎用的なプラットフォームを提案する。具体的には、安価なD2OとK2SO4を用いて、市販品と同等なD2SO4(2.75 mol l−1)とKOD(5.82 mol l−1)を合成した。我々は、ジュウテロン(D+)の生成率がプロトン(H+)のものの約1.25倍であることを見いだした。これは、陰イオン交換膜(AEM)を通る際にH+よりもD+の共イオン漏出が少なく、H2OよりもD2OにおいてBPM内での塩の漏出が少なく、この膜相ではプロトンクラスターよりもジュウテロンの脱水和障壁が低いことに起因する。その他の寄与要因と比較すると、観察されたH+/D+濃度差における塩漏出の役割は相対的に小さい。今回の柔軟かつロバストなプラットフォームによって、さまざまな重水素標識化合物の合成が容易になる。

