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免疫学:胸腺の模倣細胞の発生軌跡と進化起源

Nature 643, 8073 doi: 10.1038/s41586-025-09148-y

T細胞の自己寛容レパートリーの形成は、胸腺上皮における末梢自己抗原の発現と末梢組織の多様な表現型を模倣する細胞の小集団の存在に依存している。自己抗原を発現する分子基盤は広く研究されている一方で、胸腺の模倣細胞の発生起源や分化経路はいまだ特定されていない。さらに、多くの脊椎動物種の胸腺微小環境の構成要素として、筋様細胞および他のタイプの末梢細胞が組織学的に特定されたことから、この独特の寛容機構の進化的起源に関する疑問が浮かび上がっている。今回我々は、マウスの発生・発達過程において、模倣細胞が微小環境に連続した2つの波として出現することを示す。筋肉細胞、塩類細胞(ionocyte)、杯細胞、繊毛細胞に特徴的な転写シグネチャーを示す細胞は出生前に出現する一方、腸肝細胞や皮膚角化細胞を模倣する細胞のような、他の細胞は出生後に出現する。この2つのグループは、Foxn1およびAscl1の欠失、転写因子FOXN1のハイポモルフバリアントの発現、シグナル伝達分子BMP4およびFGF7の過剰発現によって引き起こされる、胸腺上皮細胞前駆細胞プールの調節にも異なる応答を示す。模倣細胞集団の差異は、マウスFoxn1を、進化的に古いFoxn1/4遺伝子ファミリーのメンバー、例えば頭索動物ナメクジウオのFoxn4遺伝子や、軟骨魚類のFoxn4およびFoxn1遺伝子に置き換えることで再構築された胸腺微小環境においても観察された。繊毛細胞などの一部のタイプの細胞はFOXN1が存在しなくても胸腺において発生するが、腸肝細胞などの出生後に出現する模倣細胞は、脊椎動物特異的転写因子FOXN1の活性を必要とする。軟骨魚類の胸腺や、無顎脊椎動物の代表であり、別の適応免疫系を示すヤツメウナギの胸腺相当領域(thymoid)も、肝臓特異的タンパク質であるトランスサイレチンなど、末梢組織の構成要素をコードする遺伝子を発現する細胞を持つ。我々の知見は、胸腺上皮の遺伝的ネットワークが連続的に変化することで、末梢抗原発現と模倣細胞形成の協調的な関与が可能になり、肝臓のような、脊椎動物特異的な組織革新への中枢性寛容が達成されるという進化モデルを示唆している。

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