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遺伝学:範囲拡大因子が長距離エンハンサー活性に関与する

Nature 643, 8072 doi: 10.1038/s41586-025-09221-6

哺乳類のほとんどの転写エンハンサーは、数十キロ塩基離れた所からプロモーターを調節するが、一部のエンハンサーはメガ塩基の範囲を超えた所から作用する。このような長距離でのエンハンサー–プロモーター相互作用を可能にする塩基配列の特徴はまだ解明されていない。今回我々は、in vivoでのエンハンサー置換実験をマウスのShh遺伝子座で行って、短距離および中距離の範囲で働く四肢エンハンサーは、長距離で遺伝子発現を開始させることはできないことを示す。そして我々は、長距離での調節活性をもたらす範囲拡大因子(REX)というシス作用性エレメントを明らかにした。REXは、Sall1の長距離四肢エンハンサーの隣に位置しており、それ自体に内在性のエンハンサー活性はない。しかし、他の短距離および中距離の四肢エンハンサーにREXを加えると、ゲノムとの相互作用範囲が著しく広がる。観察された中で最も極端な例では、REXを加えるとエンハンサーの働く距離が1桁上昇して、本来の73 kbから848 kbへと広がった。REXエレメントには高度に保存されている[C/T]AATTAというホメオドメインモチーフが含まれ、活性にはこのモチーフが不可欠である。これらのモチーフは、ゲノム全域で長距離四肢エンハンサー中に多く存在し、その中には、長距離四肢エンハンサーShhの基準となるZRS(極性化活性帯〔ZPA〕調節配列)などの長距離四肢エンハンサーも含まれる。[C/T]AATTAモチーフに変異のあるZRSエンハンサーは、短距離での四肢エンハンサー活性は維持されているが、長距離での活性は失われるため、ノックインマウスは重篤な四肢形成低下となる。まとめると、この研究によって長距離エンハンサー–プロモーター相互作用に関連する塩基配列シグネチャーが突き止められ、遠位エンハンサーによる長距離での活性化に必要かつ十分な、REXエレメントの原型が明らかになった。

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