二次元材料:陽イオン交換法による調整可能な磁性インターカレーション超格子の作製
Nature 643, 8072 doi: 10.1038/s41586-025-09147-z
新しいスピントロニクスには、固体材料の磁気秩序を目的に合わせて調節することが不可欠である。しかし、磁性半導体における置換型格子ドーピングは、磁性元素の低い溶解度によって制約されることが多く、達成可能な最大ドーピング濃度(例えば5%未満)や強磁性秩序化温度が制限されている。面内共有結合を切断せずに実施される層状二次元原子結晶(2DAC)における磁性元素のインターカレーションは、典型的な溶解度限界を超えて非常に高い濃度の磁性元素(例えば最高50%)を導入する代替的手法をもたらす。しかし、よく用いられる化学的インターカレーション法や電気化学的インターカレーション法は、これまでのところ主に少数の個別例に限られている。今回我々は、調整可能な磁気秩序を示す高秩序磁性インターカレーション超格子(MISL)のライブラリーを作製する、一般的なインターカレーション・陽イオン交換二段階戦略について報告する。我々は、一価の遷移金属陽イオンであるCu+とAg+、二価の磁性陽イオンであるMn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、三価の希土類陽イオンであるEu3+とGd3+を、VIB族2DAC(MoS2、MoSe2、MoTe2、WS2、WSe2、WTe2など)、IVB族、VB族、IIIA族、IVA族、VA属の2DAC(TiS2、NbS2、NbSe2、TaS2、In2Se3、SnSe2、Bi2Se3、Bi2Te3など)に導入することに成功した。我々は、これらのMISLが磁性インターカラント濃度を調整して作製でき、それによって半導体、トポロジカル絶縁体、超伝導体を含む一連のさまざまな機能性2DACの磁気秩序が目的に合わせて調節可能になることを示す。今回の研究は、基礎研究とスピントロニクス応用の両方に向けた汎用的材料プラットフォームを確立するものである。

