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神経科学:PTSDにおけるヒト脳での単一細胞のトランスクリプトーム動態とクロマチン動態

Nature 643, 8072 doi: 10.1038/s41586-025-09083-y

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、極度の心的外傷への曝露後に生じる多遺伝子疾患である。最近の研究によって、PTSDの分子生物学的詳細が分かり始めている。しかし、これまでに特定されている、PTSDで摂動する一連の分子経路を考えると、単一の細胞タイプが原因であるとは考えづらい。本研究で我々は、PTSDのある人とない人、および大うつ病性障害の患者計111人の死後脳から採取した背外側前頭前皮質の200万個以上の核について、分子的応答をプロファイリングした。我々は、ニューロンと非ニューロンの細胞タイプクラスター、遺伝子発現変化、転写調節因子を特定し、PTSDのエピゲノムのレギュロームを細胞タイプ特異的な様式でマッピングした。この解析によって、抑制ニューロン、内皮細胞、ミクログリアにおけるPTSDに関連した遺伝子変化が明らかになり、グルココルチコイドシグナル伝達、GABA作動性伝達、神経炎症に関連する遺伝子および経路が見つかった。さらに、細胞タイプ特異的な空間トランスクリプトミクスを用いてこれらの知見を検証し、SSTFKBP5などの重要な遺伝子の発現異常を確認した。遺伝学、トランスクリプトミクス、エピジェネティクスのデータを統合することにより、細胞タイプ特異的な状況でELFN1MAD1L1KCNIP4などのPTSD遺伝子の発現を乱す信頼度の高いバリアントの調節機構が明らかになった。まとめるとこれらの知見は、ヒト前頭前皮質に対する心的外傷ストレス応答の持続的な影響の根底にある、細胞タイプ特異的な分子調節機構の包括的な特性解析結果を提示している。

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