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生化学:ヒトSLC35B1によるATPの小胞体への段階的輸送
Nature 643, 8072 doi: 10.1038/s41586-025-09069-w
ミトコンドリアで生成されたATPは、SLC25ファミリーに属するADP/ATP輸送体によって運び出される。小胞体(ER)はATPを合成できないので、細胞質中のATPを取り込んで、タンパク質の折りたたみや品質管理、輸送を行うエネルギー源としなければならない。近年になって、ヌクレオチド糖輸送体ファミリーの一員であるSLC35B1(AXERとも呼ばれる)がヌクレオチド糖輸送体ではなく、長い間探し求められていた小胞体内部へATPを取り込む輸送体ではないかという説が出された。今回我々は、ヒトSLC35B1はヌクレオチド糖には結合せず、実際にATP/ADP交換を厳密に実行し、その取り込みの反応速度論的性質が未精製の小胞体ミクロソーム内部へのATP輸送の場合と一致することを明らかにした。CRISPR–Cas9細胞株でのノックアウト実験によって、SLC35B1が、細胞の増殖に最も重要なSLC輸送体とクラスターを形成することが実証され、これは、予想される生理機能と一致する。さらに我々は、Fv断片と複合体形成したヒトSLC35B1について、基質と結合しない状態とATP誘導体もしくはADPと結合した状態で、輸送サイクル中に取り得る主要なコンフォメーション6種類をクライオ電子顕微鏡によって決定した。ATPとADPは輸送の際に、フレキシブルな基質結合部位との重要な結合は保ったまま、垂直方向に約6.5 Å移動することが分かった。これらの知見から、SLC35B1は段階的にATPを輸送すると結論されるが、このような輸送モデルはSLC輸送体による基質輸送ではこれまで報告されていない。

