Article

持続可能な化学:インラインNMRによって誘導される実生活のプラスチックのオルソゴナル変換

Nature 643, 8071 doi: 10.1038/s41586-025-09088-7

プラスチック廃棄物蓄積という世界的危機が、野生生物や生態系を脅かしている。プラスチック廃棄物を有用な化学物質や燃料に変換する触媒プロセスが、有望な解決策をもたらす。実生活で使われるプラスチックの混合物は組成や構造が多様なので、そのリサイクルやアップサイクルは困難である。今回我々は、プラスチック混合物における異なる官能基の反応性のオルソゴナル性を利用して有用生成物を得る、生成物重視の戦略を提案する。この手法では、含まれる官能基群を特定した後、混合物中のある成分を選択してそれを有用な生成物に変換する。我々は、実生活のプラスチックだけでなく、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンの混合物を用いて、今回提案した戦略の実現可能性と有効性を実証する。これらの成分は物理的特性や化学的特性が多様であり、これによって通常は直接回収が阻まれているが、今回提案した戦略では抽出と変換の機会がもたらされる。我々は、発泡スチロール、ポリ乳酸ストロー、ポリウレタンチューブ、ポリカーボネートマスク、ポリ塩化ビニルバッグ、ペットボトル、ポリエチレンスポイト、ポリプロピレンボトルなどの20 gの実生活プラスチック混合物から、8種類以上の化学物質、すなわち1.3 gの安息香酸、0.5 gの可塑剤、0.7 gのアラニン、0.7 gの乳酸、1.4 gの芳香族アミン塩、2.1 gのビスフェノールA、2.0 gのテレフタル酸、3.5 gのC3~C6アルカンを得た。今回の研究は、複雑なプラスチック廃棄物の変換戦略の化学的性質に基づいた設計の可能性を明らかにするとともに、使用済みプラスチック混合物を管理する道を開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度