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分子生物学:天然のヌクレオソームはゲノム構築原理を内在的にコードしている

Nature 643, 8071 doi: 10.1038/s41586-025-08971-7

真核生物のゲノムは、ヒストンコアの周囲に巻き付いている147個の塩基対からなるヌクレオソームに詰め込まれており、さらに組織化されてユークロマチン(A区画)とヘテロクロマチン(B区画)が形成されている。今回我々は、個々のヌクレオソームに、3Dゲノム区画への組織化に十分な情報が、例えばその生物物理学的特性という形で含まれているのかどうかを調べた。我々は、天然のヌクレオソーム単量体を高度な単分散状態にまで精製し、生理的濃度のポリアミンを用いてその凝縮性を決定した。A区画に入ることが知られている染色体領域は凝縮性が低く、B区画に入ることが知られている領域は凝縮性が高い。トランス因子を全く利用せずに凝縮性だけを入力情報として、クロマチン重合体のシミュレーションを行ったところ、A/B区画が再現された。また、凝縮性も遺伝子発現と強く逆相関していて、特にプロモーター近傍で細胞型依存性が著しかった。従って、ヌクレオソーム単量体自体に遺伝子発現のオンまたはオフに結び付く生物物理学的特性が備わっていることになる。遺伝的特徴およびエピジェネティックな特徴と比較すると、ヌクレオソームの凝縮性は創発特性であり、細胞の高次クロマチンの状態を推定するための天然の軸となる。さまざまな凝縮試薬やヒストン修飾、変異を用いた解析によって、ヌクレオソームにコードされたゲノム構築原理は、大部分が静電的な作用であることが示された。オルニチンデカルボキシラーゼのノックアウトや阻害によってマウスのT細胞でポリアミンが欠乏すると、凝縮性が極端に分かれることから、細胞がポリアミンに依存してヌクレオソームの生物物理学的特性をゲノムの3D構造へと翻訳できない時には、凝縮性の対比が際立ってしまうことが示された。これが、ポリアミン欠乏時に見られる機能不全の説明になるかもしれない。

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