Perspective
遺伝学:ヒト組織横断的な体細胞モザイクネットワーク
Nature 643, 8070 doi: 10.1038/s41586-025-09096-7
受精以降、ヒトを構成する細胞はDNA塩基配列の変化を獲得し、これらは体細胞変異として知られる。こうした接合後変異は、DNAの複製や修復での内因性エラーに加え、変異原への曝露によって生じる。体細胞変異は一部の疾患で関与が示されているが、ヒトの健康な組織における変異の頻度、タイプ、パターンについての基本的な理解は限られている。これは、個体内で特定の体細胞バリアントを持つ細胞の割合が小さく、継承したバリアントよりも検出が難しいことが主な原因である。本論文で我々は、ヒト組織横断的な体細胞モザイク(SMaHT:Somatic Mosaicism across Human Tissues)ネットワークについて説明する。SMaHTネットワークは、150人の非疾患ドナーの19の異なる組織部位について、組織横断的な体細胞変異とそれらのクローンパターンの参照カタログを作成し、体細胞変異を検出してそうした変異による表現型への影響(クローン増殖など)を評価するための新たな技術と計算ツールを開発することを目的としている。この戦略は、ヒトの体横断的な変異の全体像を包括的に調べることを可能にし、疾患における体細胞変異の比較基準を提供する。これは、生涯にわたる体細胞変異やクローン増殖、ならびにそれらの役割を、健康、老化、そして比較として疾患において、深く理解することにつながる。

