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がん:大腸がんの変異過程における地理的および年齢による差異
Nature 643, 8070 doi: 10.1038/s41586-025-09025-8
大腸がんの発症率は地理的に異なり、経時的に変化している。特に、過去20年間で、50歳未満の人に発症する早期発症大腸がんの発症率は多くの国で2倍になっている。しかし、こうした上昇の理由は分かっていない。今回我々は、11カ国の981症例の大腸がんゲノムを調べることで、変異過程が地理的な差異や年齢に関連した差異に関与しているかどうかを研究した。マイクロサテライト不安定性がんでは大きな差異は見られなかったが、マイクロサテライト安定性がんの802症例では変異量や変異シグネチャーに差異が観察された。複数のシグネチャーは、そのほとんどの原因が分かっていないが、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ロシア、タイの症例では保有率の違いが見つかり、変異原性曝露のレベルが地理的に異なることが示された。細菌が産生する変異原コリバクチンによって引き起こされるシグネチャーであるSBS88とID18は、大腸がん発症率の高い国ほど変異量が高かった。SBS88とID18は早期発症大腸がんでも多く見られ、40歳未満で診断された人では70歳以上で診断された人より3.3倍多く、また大腸がんの発症過程早期からその痕跡が見られた。コリバクチンへの曝露はさらにAPCドライバー変異にも結び付けられ、ID18はコリバクチン陽性症例のAPC挿入欠失(indel)ドライバー変異の約25%を占めていた。この研究は、大腸がんの変異過程における地理的差異と年齢に関連した差異を明らかにし、また、若年期のコリバクチン産生細菌への変異原性曝露が、早期発症大腸がんの発症率上昇に関与する可能性を示唆している。

