構造生物学:ケモカイン受容体へのアレスチンの結合に対するリン酸化バーコードの影響
Nature 643, 8070 doi: 10.1038/s41586-025-09024-9
活性な7回膜貫通型受容体のさまざまな領域に多様なGタンパク質共役受容体(GPCR)キナーゼ(GRK)によって組み込まれた独特なリン酸化「バーコード」は、細胞によって異なる結果を促進すると考えられてきた。しかし、アレスチンがこれらのバーコードに特異的に関わっているのかどうか、またどのようにして関わるのかは、明らかになっていない。今回我々はこの問題に取り組むために、活性を持つアレスチン2(β-アレスチン1)およびアレスチン3(β-アレスチン2)の両方を認識するが、結合した受容体ポリペプチドとは相互作用しない抗原結合フラグメント(Fab7)を開発した。Fab7を用いて、これら2種類のアレスチンについて、非定型ケモカイン受容体3(ACKR3)と複合体を形成した際の構造を決定した。ACKR3はGRK2またはGRK5のどちらかにより、そのC末端尾部の異なる領域がリン酸化されている。GRK2でリン酸化されたACKR3は、より不均質性の高い「尾部モード」集合体となったが、GRK5によるリン酸化ではさらに固い「ACKR3に近い」集合体が生じることが分かった。予想外のことに、両方のアレスチンのフィンガーループは、受容体の細胞内ポケットではなく、ミセル表面に結合していて、アレスチン3はより動的になっていた。その理由の1つは膜係留モチーフがないことである。従って、バーコードの領域と含まれているアレスチンアイソフォームの両方が、GPCR–アレスチン複合体の構造と動態を変化させる可能性があり、ケモカインスカベンジングの効率やACKR3でのアレスチン結合のロバストネスのような、下流での細胞の独特な影響についての機構的基盤が与えられる。

