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分子生物学:部位特異的レトロトランスポゾン活性を新たなDNA部位に再プログラム化する

Nature 642, 8069 doi: 10.1038/s41586-025-08877-4

レトロエレメントは、真核生物のゲノムを形作る上で非常に重要な役割を担っている。例えば、部位特異的な非LTR型レトロトランスポゾンは、マイクロサテライト領域やリボソームDNA遺伝子のようなゲノムの反復配列への優先的な組み込みを介して広範囲に広がっている。このような系は幅広く見られるが、その標的選択の制約についてはまだ詳しく解明されていない。今回我々は、コンピューターによるパイプライン処理を利用して、多数の新しい部位特異的レトロトランスポゾンファミリーを発見し、それらの特性を生化学的に、また哺乳類細胞内で調べ、これまで知られていなかった挿入の嗜好性を明らかにし、レトロトランスポゾンが標的を変更するための潜在的な進化経路を示した。そして、キンカチョウ(Taeniopygia guttata)由来のR2レトロトランスポゾンであるR2Tgが、積み荷の操作によって標的を変更して、ゲノムの新しい部位で標的の切断、逆転写、痕跡の残らない異種積み荷挿入が行えるR2オルソログであることを突き止めた。このR2TgをCRISPR–Cas9ニッカーゼと融合させることによって活性を高め、新しいゲノム部位で効率の良い挿入が行えるようにした。さらにR2オルソログのスクリーニングを続けて、天然の再プログラミング能を持ち、本来の28S部位への挿入が最小限に抑えられたオルソログR2Toccを選択し、SpCas9H840A–R2Toccを作製して、この系をSTITCHR(site-specific target-primed insertion through targeted CRISPR homing of retroelements)と名付けた。STITCHRを用いれば、1塩基から12.7キロ塩基という幅広い大きさの積み荷を、痕跡を残さずに効率良く挿入することや遺伝子置換が可能で、in vitroで転写した鋳型RNAや合成した鋳型RNAを利用できる。非LTR型レトロトランスポゾンが真核生物ゲノム全域に広く見られることを考えると、STITCHRは、細胞が分裂中か否かにかかわらず、痕跡を残さずにプログラム可能な組み込みを行うための土台として、研究と治療の両方に活用できると期待される。

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