免疫学:PRDM16依存性の抗原提示細胞は腸の抗原に対する免疫寛容を誘導する
Nature 642, 8068 doi: 10.1038/s41586-025-08982-4
消化管は、適応免疫応答を誘導する能力を持つ、食物や共生微生物に由来する外来抗原に継続的に曝露されている。末梢誘導型制御性T(pTreg)細胞は、これらの抗原に対する炎症反応を軽減するために不可欠である。RORγt+抗原提示細胞(APC)は腸の微生物相特異的pTreg細胞をプログラムすることが示されているが、その定義はいまだ不完全で、食物への免疫寛容を担うAPCは分かっていない。今回我々は、食物特異的なpTreg細胞と微生物相特異的なpTreg細胞の両方の分化や、経口免疫寛容の確立に必要なAPCサブセットを特定した。これらのAPCの発生と機能には転写因子であるPRDM16およびRORγtの発現に加え、独特のRorc(t)シス調節エレメントが必要である。遺伝子発現、クロマチンアクセシビリティー、表面マーカー解析から、pTreg細胞を誘導するAPCは、骨髄に起源があり、3型自然リンパ球とは異なり、従来型樹状細胞とエピジェネティックなプロファイルを共有していることが確立され、こうしたAPCはPRDM16+RORγt+ tolDC(tolerizing dendritic cell)と名付けられた。tolDCの遺伝的摂動により、喘息や食物アレルギーのマウスモデルでは、pTreg細胞の代わりに、食物抗原特異的2型ヘルパーT細胞が大幅に増加し、その結果、免疫寛容が障害されることが観察された。ヒト臓器ドナー1人から新たに切除された腸間膜リンパ節の単一細胞解析に加え、ヒトの腸や扁桃腺の多数の標本から、PRDM16とRORCを共発現し、マウスのtolDCとトランスクリプトームを広範に共有する候補tolDCが明らかになり、種を超えて進化的に保存された役割があることがはっきりと示された。我々の知見は、tolDCが生じる仕組みや、tolDCが食物や微生物の抗原に対するT細胞応答を調節する仕組みについての理解を深めることで、自己免疫疾患やアレルギー疾患に対する治療戦略や、臓器移植片への免疫寛容を促す戦略を開発する新たな手掛かりを得られる可能性を示唆している。

