微生物学:マウスでマイクロバイオームの回復を誘導するのに食餌は微生物移植より優れている
Nature 642, 8068 doi: 10.1038/s41586-025-08937-9
高脂肪、低繊維の西洋型の食餌(WD)は、分類学的多様性や代謝幅の減少を特徴とするマイクロバイオームのディスバイオーシスを引き起こし、これは続いて代謝、免疫、全身に多様な病態が生じるリスクを上昇させる。近年の研究で、WDは抗生物質投与などの急性の摂動に対するマイクロバイオームのレジリアンスを障害し得ることが明らかになっているが、その障害が起こる機構や、長期にわたる抗生物質投与後ディスバイオーシスが宿主に与える具体的な影響についてはほとんど分かっていない。今回我々は、通常食(RC)あるいはWDを与えたマウスに抗生物質を投与した後、腸マイクロバイオームがその分類学的かつ機能的なプロファイルを回復する軌跡の特徴を調べ、RCマウスのみが急速で連続的な回復過程をたどることを見いだした。代謝モデル化では、RCの食餌は栄養共生的なクロスフィーディング相互作用の発生を促す一方で、WDマウスでは、優占タクソンが栄養共生的な副産物を放出することなく、すぐに利用可能な栄養源を独占することが示された。介入実験では、適切な食餌栄養源の環境がマイクロバイオームの急速でロバストな回復に必要かつ十分である一方で、微生物移植は必要でも十分でもないことが明らかになった。さらに、WDマウスでの長期にわたる抗生物質投与後ディスバイオーシスによって、マウスは腸の病原体であるネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)による感染に感受性になった。ディスバイオーシスに対処する戦略として、広く糞便移植(FMT)熱が起きているが、我々のデータはそれに疑問を投じるものであり、また特定の食餌介入は、少なくとも効果的なFMTに不可欠な前提条件であり、より安全かつ自然な低侵襲性の別の選択肢となる可能性を示している。

