ゲノミクス:野生イネおよび栽培イネのパンゲノム参照
Nature 642, 8068 doi: 10.1038/s41586-025-08883-6
アジアの栽培イネ(Oryza sativa)の祖先種である野生イネOryza rufipogonは、イネの育種に重要な資源である。今回我々は、O. rufipogonの遺伝的に異なる129のアクセッションと栽培イネの異なる16品種からなる、145の染色体レベルのアセンブリに基づいて、野生–栽培イネパンゲノムを提示する。このパンゲノムは、栽培イネのジャポニカ亜種栽培品種(O. sativa ssp. japonica cv.)である日本晴(Nipponbare)の参照ゲノムには存在しない、3.87 Gbの塩基配列を含んでいる。我々は、初期のアセンブリでは欠けていたヘテロ接合の情報を含む別のアセンブリを捕捉して、計6万9531の遺伝子コレクションを特定した。このうち、2万8907は中核となる遺伝子で、1万3728は野生イネ特異的な遺伝子であった。野生イネでは、栽培イネよりも抵抗性遺伝子アナログが多く存在し、多様性も非常に大きいことが観察された。我々の解析結果は、栽培品種の2つの亜集団intro-indicaとbasmatiが、南アジアの栽培品種間の遺伝子流動を介して生じたことを示している。我々はまた、アジアの栽培イネ全てについての最初の栽培化は一度しか起こっていないという説を裏付ける、強力な証拠も提示する。さらに我々は、インディカ亜種(indica)とジャポニカ亜種を識別する、85万5122の一塩基多型と1万3853の存在/不在変異(PAV)が捕捉され、これは、それぞれの祖先系統の分岐と、ジャポニカ亜種におけるより大きな遺伝的ボトルネックの存在にさかのぼることができる。今回の研究は、イネの育種に役立つ参照資源であり、イネの起源や栽培化過程についての我々の理解を深めるものである。

