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芸術保存:デジタル構築されたマスクを用いた絵画の物理的修復
Nature 642, 8067 doi: 10.1038/s41586-025-09045-4
劣化した油彩画の保存では、欠損部を手作業で修復(補彩)する必要があり、多額の費用がかかる数カ月に及ぶ処置が行われることになる。処置費用がかかることも理由の1つとなって、機関収蔵品の絵画の70%は未公開のままである。画像のデジタル復元における最近の進歩は、直接的な処置手段はないものの、処置結果を想像するのに役立っている。今回私は、プラド美術館所蔵の『東方三博士の礼拝』を描いた匿名の名手作とされるひどく劣化した15世紀後半の絵画(パネルに油彩)の、デジタル修復の物理的適用について報告する。6万6205 mm2および5万7314色に及ぶ5612箇所の欠損部が、忠実な色の顔料をプリントした2層ポリマー膜からなる可逆性のラミネートマスクで補彩された。この修復法の有効性を確実にするため、マスクのデジタル構築では絵画保存の倫理原則が定量的に実施された。これは、現在のデジタル修復資料に欠けている極めて重要な基礎である。補彩工程に要した時間は3.5時間であり、これは従来の補彩よりも推定で66倍速い。復元結果は、シミュレーションとよく一致した。この手法は、保存修復士にさらなる展望と融通性をもたらし、高い保存予算に値しないと見なされている無数の劣化した絵画の修復を可能にする。

