Article
化学合成:中性窒素同素体である六窒素C2h-N6の合成
Nature 642, 8067 doi: 10.1038/s41586-025-09032-9
窒素元素のみからなる化学物質(ポリ窒素または窒素同素体)は、一般的に用いられている水素、アンモニア、ヒドラジンよりもずっと多い膨大なエネルギー含有量を有し、分解時に無害な窒素しか放出しないため、有望なクリーンエネルギー貯蔵材料と考えられている。しかし、それらは極めて不安定であるために大きな合成課題をもたらし、N2以外の中性窒素同素体分子は単離されていない。今回我々は、塩素または臭素とアジ化銀との気相反応を通してN6(六窒素)分子を室温で合成した後、これを10 Kのアルゴンマトリックス中で捕捉したことを報告する。我々はまた、純粋なN6を液体窒素温度(77 K)で膜としても作製し、さらにその安定性を示した。今回の発見は、赤外および紫外–可視(UV-Vis)分光法、15N同位体標識、ab initio計算によって強く裏付けられた。今回のN2以外の準安定窒素同素体分子の合成は、科学的な基礎知識に貢献し、将来のエネルギー貯蔵概念に新たな機会をもたらす可能性がある。

