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大気化学:全球メタン収支の傾向と変動を調節する大気汚染
Nature 642, 8067 doi: 10.1038/s41586-025-09004-z
大気汚染は、多様で複雑な相互作用を通して気候に影響を及ぼす。大気汚染は、地球の放射エネルギー平衡を乱し、メタンなどの短寿命の気候強制因子の寿命を決定する大気酸化能を変化させる。このダイナミクスの重要な機構の1つが、対流圏の最も重要な酸化体でありメタンの化学的シンクの約90%を占めるヒドロキシルラジカル(OH)に対する、大気汚染物質の影響である。しかし、大気汚染物質とOHとメタンの間の相互作用の、10年の時間スケールでの包括的な定量化はまだ不十分である。今回我々は、重要な大気汚染物質の変動がどのようにメタンの化学的シンクに影響を及ぼしてメタン収支を変化させるかを定量化する、観測駆動型とモデル駆動型を統合した手法を開発した。得られた結果は、2005〜2021年に、対流圏オゾンの増大、水蒸気の増加、一酸化炭素濃度の低下が、合わせて1年当たり1.3~2.0 Tgの全球メタンシンクの増大に寄与しており、それによって大気中メタンの増加速度を緩和していることを示している。このメタンシンクの増大は主に熱帯地域に集中しており、南北の非対称性を示していた。特に巨大山火事や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックなどの極端事象の際には、メタン増加速度が高い時期は通常、大気汚染物質の変動によって駆動される急激なOH濃度の低下と関連していた。今回の研究は、O3汚染防止と、OHを介したメタン除去の間のトレードオフを示唆しており、広範な山火事による一酸化炭素放出の増加のリスクを浮き彫りにしている。

