Article
量子物理学:(2 + 1)D格子ゲージ理論における電荷と弦のダイナミクスの可視化
Nature 642, 8067 doi: 10.1038/s41586-025-08999-9
格子ゲージ理論(LGT)を使用して、高エネルギー物理学における素粒子の散乱から物質中の多体相互作用の有効記述まで、広範な現象を理解することができる。創発相のダイナミクス的な性質の研究は、摂動限界を超えることの多い多体問題を解く必要があるため、困難になり得る。今回我々は、超伝導キュービットの二次元格子を用いて、ℤ2 LGTにおける局所励起のダイナミクスを調べた。我々はまず、基底状態と大きな重なりを有する低エネルギー状態を準備する簡単な変分回路を構築し、次いで、局所ゲートにより電荷励起を生成し、それらの量子ダイナミクスを離散化された時間発展を用いてシミュレートした。測定の結果、電場結合定数を増加させるにつれ、脱閉じ込めから閉じ込めへのダイナミクスの遷移を示す特徴が現れた。閉じ込め励起では、電場によって励起同士をつなぐ弦に張力が誘起される。今回の方法によって、(2 + 1)D LGTにおける弦のダイナミクスの実験的画像化が可能になり、そこから、閉じ込め相の内部には2つの大きく異なる領域が存在することが明らかになった。弱い閉じ込めでは横方向に弦が強くゆらぐ一方、強い閉じ込めでは横方向のゆらぎが効果的に凍結される。我々はまた、ダイナミクス的な弦の切断を促進させる共鳴条件も実証した。今回の量子プロセッサー上へのLGTの実装は、創発する励起と弦のダイナミクスを研究する上での一組の新しい技術を提示している。

