医学研究:ミトコンドリア代謝はDNMT3A-R882変異型のクローン造血を持続させる
Nature 642, 8067 doi: 10.1038/s41586-025-08980-6
DNMT3A-R882コドンの体細胞変異は、最もありふれたクローン性造血(CH)を引き起こし、急性骨髄性白血病(AML)のリスク上昇と関連している。従って、DNMT3A-R882変異を有する造血幹・前駆細胞(HSPC)の増殖を防ぐことはAMLへの進行を防げる可能性がある。今回我々は、DNMT3A-R882変異細胞に特異的な脆弱性を特定するために、マウス初代Dnmt3aR882H/+ HSPCを用いてゲノム規模CRISPRスクリーニングを行った。その結果、特定された640の脆弱性遺伝子のうち、多くがミトコンドリア代謝に関与しており、また代謝フラックス解析から、Dnmt3aR882H/+ HSPCでは、Dnmt3a+/+(WT)HSPCと比べて、酸化的リン酸化の使用が亢進していることが確認された。我々は、下流研究のために、薬理学的阻害剤が利用可能なクエン酸/リンゴ酸輸送体Slc25a1および複合体I構成要素Ndufb11を選択した。SLC25A1阻害剤CTPI2、複合体I阻害剤IACS-010759、メトホルミンのin vivo投与によって、Dnmt3aR882H/+長期造血幹細胞の移植後クローン増殖は抑制されたが、WT長期造血幹細胞は抑制されなかった。メトホルミンの効果は、ヒト初代DNMT3A-R882 CH試料においても再現された。注目すべきことに、英国バイオバンクの参加者41万2234人の解析から、メトホルミンを服用している人は、糖化ヘモグロビン、糖尿病、ボディーマス指数など交絡因子の可能性を調整すると、DNMT3A-R882変異型CHの有病率が著しく低いことが分かった。総合的に我々のデータは、ミトコンドリア代謝の調節がDNMT3A-R882変異型AMLの予防戦略になると提案している。

