細胞生物学:PLA2G15はBMPの加水分解酵素であり、その標的化はリソソーム病を軽減する
Nature 642, 8067 doi: 10.1038/s41586-025-08942-y
リソソームは脂質などの生体分子を異化し、細胞や個体の恒常性を維持している。ビス(モノアシルグリセロ)リン酸(BMP)は、リソソーム内小胞の主要な脂質構成成分であり、脂質分解酵素を刺激する作用を持ち、神経変性疾患などのヒトのさまざまな病態で異常を示す。最近、リソソームBMPの合成酵素が発見されたが、BMPの代謝回転を仲介する酵素はまだ見つかっていない。今回我々は、リソソームのホスホリパーゼPLA2G15が、生理的なBMPの加水分解酵素であることを示す。我々はさらに、リソソームでの加水分解に対するBMPの抵抗性は、その独特なsn2およびsn2′エステル化の配置と立体化学的性質から生じ、そのどちらも単独では抵抗性をもたらさないことを実証する。精製PLA2G15は、細胞や組織のリソソームに由来するBMP種の大半を異化する。その上、PLA2G15が1級エステルを持つ合成BMP立体異性体も効率よく加水分解することは、BMPの立体化学的性質が単独で酸性ホスホリパーゼに対する抵抗性をもたらすという、長く信じられてきた見方に反するものであった。逆に、2級エステルとS,S立体配置を持つBMPはin vitroで安定で、リソソームでの加水分解にはアシル基の転位が必要であった。これらの生化学データと一致して、PLA2G15を欠失した細胞や組織にはいくつかのBMP種が蓄積し、この表現型は野生型PLA2G15を補充すると元に戻せたが、不活性変異型PLA2G15では元に戻らなかった。PLA2G15を標的化すると、ニーマン・ピック病C1型患者の繊維芽細胞でコレステロール蓄積が減少し、ニーマン・ピック病C1型タンパク質欠失マウスの病態が著しく軽減し、寿命が延長した。これらの知見は、リソソーム内でのBMPの安定性を制御する規則を明確にするとともに、PLA2G15がリソソームBMPの加水分解酵素であり、神経変性疾患の治療介入の標的になり得ることを明らかにしている。

