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創薬:小分子がミトコンドリアDNAポリメラーゼ変異体の活性を回復させる
Nature 642, 8067 doi: 10.1038/s41586-025-08856-9
哺乳類のミトコンドリアDNA(mtDNA)はDNAポリメラーゼγ(POLγ)によって複製される。POLγは、触媒作用を持つPOLγAサブユニット1個と補助的なPOLγBサブユニット2個からなるヘテロ複合三量体である。触媒サブユニットをコードする遺伝子POLGの変異は300個以上が知られていて、罹病率や致死率の高い進行性の重篤な病態に結び付けられ、治療法はない。今回我々は、mtDNAの合成を活性化してPOLγ変異の中で最も多いバリアントの機能を回復させることのできる初めての小分子であるPZL-Aの発見と、その性質を詳しく調べた結果について報告する。PZL-Aは、触媒サブユニットPOLγAとそれに隣接するPOLγBサブユニットの境界部分にあるアロステリック部位に結合する。疾患の原因となる変異のほとんど全てが、この境界部分には影響を及ぼさない。PZL-Aは、in vitroでPOLγ変異体に野生型に似た活性を回復させ、致命的なPOLG病の小児患者由来の細胞でmtDNA合成を活性化し、それによって酸化的リン酸化装置の生合成と細胞呼吸を促進する。この研究によって、小分子によるDNAポリメラーゼ変異体の機能回復が可能なことが実証され、POLG病やmtDNAの枯渇が関連する重篤な疾患の治療につながる有望な道が開かれた。

