物性物理学:ツイストMoTe2二重層における分数充填率の隠れた状態とダイナミクス
Nature 641, 8065 doi: 10.1038/s41586-025-08954-8
分数量子異常ホール(FQAH)効果は、ツイストMoTe2(tMoTe2)二重層において最近発見された。実験ではこれまで、ν = −1、−2/3、−3/5、−4/7(モアレ単位胞当たり)での正孔ドーピングから、チャーン絶縁体が明らかになっている。これと並んで理論的には、ν = −1と−3の間に、エキゾチックな量子相、例えば、待望の分数トポロジカル絶縁体、分数量子スピンホール(FQSH)状態、非アーベル型分数状態が存在することが予想されている。今回我々は、tMoTe2に過渡光分光法を用いて、静的な光センシングまたは輸送測定では捉えられない、分数充填率での20例近くの隠れた状態を明らかにした。励起パルスが、相関ギャップあるいは擬ギャップをまたいで電荷を選択的に励起する結果、相関状態の無秩序化(融解)が生じる。そしてプローブパルスが、励起子やトリオンのセンシングによって、その後の融解と回復のダイナミクスを検出する。我々は、既知の状態の他に、ν = 0と−1の間のさらなる分数充填率と、電子ドーピング側(ν > 0)に多数の状態を観測した。最も重要なのは、ν = −4/3、−3/2、−5/3、−7/3、−5/2、−8/3でのチャーンバンドの分数充填率で新たな状態が観測されたことである。これらの状態は、予想されているエキゾチックなトポロジカル相の候補となり得る。さらに我々は、相関状態の融解が2~4 psと180~270 psの2つの異なる時間スケールで生じ、これらはそれぞれ電子的機構とフォノン的機構に起因することを示す。そして我々は、異なるモアレ伝導帯および価電子帯からの電子ドープ状態と正孔ドープ状態の異なるダイナミクスについて論じる。

