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腫瘍生物学:細胞周期の長さは発がん性形質転換能を決定する

Nature 641, 8065 doi: 10.1038/s41586-025-08935-x

発がん性変異はヒトの正常組織に広く存在している。同様に、マウスキメラでは、発がん性病変を持つ細胞は成体組織に正常な細胞を供給しているが、がんを引き起こすことはない。正常に発生してがんにならない細胞系譜と、がんになる少数の細胞系譜の間にどのような違いがあるのかは明らかでない。腫瘍はがん固有の特徴を示すため、我々はがんになりやすい系譜とがん化抵抗性の系譜とを区別する特徴を探索した。本論文で我々は、総細胞周期持続時間(Tc)が、複数の腫瘍タイプにわたって形質転換の起こりやすさを予測することを示す。Rb(別名Rb1)やp107(別名Rbl1)を欠損したがん化しやすい網膜では、アポトーシス、細胞老化、免疫監視、血管新生、DNA修復、極性、増殖に欠陥が見られた。SKP2–p27–CDK2/CDK1軸を摂動すると、これらの特徴に影響を与えることなく、がんを阻止することができた。従って、がんにはその特徴が存在すること以上のものが必要である。調べた全ての腫瘍抑制変異でTcが延長しており、網膜芽細胞腫細胞の起源細胞のTcは、がん化しにくい系譜のTcの半分だった。Tcはまた、Rb−/−下垂体がんの起源細胞を分化させた。また肺では、Rbおよびp53(別名Trp53)の喪失は神経内分泌細胞を形質転換させたのに対して、KrasG12D変異、またはBrafV600E変異は2型肺胞細胞を形質転換させた。変異がいつ起こったかに関係なく、Tcが最も短い細胞が、起源細胞であることが一貫して示された。従って、Tcの相対的な長さは、いくつかの状況下でがん化しやすい系譜とがん化しにくい系譜の分別を開始する際の特徴であり、変異細胞がアポトーシスや細胞老化、免疫監視を誘導することなく、形質転換を回避する仕組みを説明している。

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