生物工学:オンチップの血栓性炎症での臨床に関連する血栓解消
Nature 641, 8065 doi: 10.1038/s41586-025-08804-7
血栓性炎症はさまざまな疾患で起こり、命に関わる微小血管閉塞につながった結果、末端臓器不全を引き起こすことがある。重要なのは、微小血管はサイズスケールが小さく、この過程の持続期間は数週間から数カ月と長期であるため、その血栓性炎症がどのようにして解消するのかがほとんど分かっていないことである。今回我々は、長期にわたる培養が可能なハイドロゲルベースの血栓性炎症オンチップモデルについて報告する。このモデルでは、臨床的、生理学的な時間スケール(最長数カ月)で血栓解消をモニタリングできる。我々はこのシステムを用いて、微小血管血栓性炎症での血栓解消の異なる時間的段階をマッピングした。マルチプレックスRNA蛍光in situハイブリダイゼーションと我々の血栓性炎症オンチップモデルを組み合わせて用いたところ、炎症は内皮の繊維素溶解バランスを血栓形成に有利な方向にずらすことが観察され、好中球エラスターゼが血栓解消だけでなく組織損傷も引き起こすという、相反する二重の働きをすることが明らかになった。次に我々は、微小血管血栓症の防止、あるいは血栓溶解の促進のどちらかに働く治療薬の作用機序について調べた。具体的には、血栓性炎症では(1)3時間以内の組織プラスミノーゲンアクチベーター早期投与は内皮バリア機能を直接改善すること、(2)デフィブロチドとエノキサパリンの予防的使用は内皮を介した機構により微小血管血栓性炎症を抑制すること、(3)エノキサパリンとクリザンリズマブの併用は微小血管閉塞を減らし、鎌状赤血球症では内皮機能を保護することが観察された。これらのデータは、血栓性炎症性の血栓解消の基盤となっている機構の解明と、その創薬におけるパラダイムを示すものである。

