神経科学:コネクトームから導かれた完全な視覚系の神経カタログ
Nature 641, 8065 doi: 10.1038/s41586-025-08746-0
視覚は、動物に対して周囲環境についての詳細な情報を与え、視覚場面全体にわたって色・形状・動きなどさまざまな特徴を伝達する。これらの平行した空間的特徴を計算するには、巨大で多様なニューロンネットワークが必要となる。その結果、ハエからヒトまで、脳の視覚領域はその体積の半分を占めている。これらの視覚領域には、顕著な構造–機能連関があり、ニューロンは空間地図に沿って構成されていて、形状はそれらの視覚情報処理における役割に直接関連している。1世紀以上にわたる解剖学研究によって、ハエの視覚系の詳細な細胞タイプがリストアップされ、並行した行動および生理に関する実験でハエの視覚能力が調べられてきた。複雑な視覚系の多様性を明らかにするには、この回路に標的を定めた探索ツールに対応した慎重な神経構造のマッピングが必須である。本論文で我々は、集束イオンビーム切削法と走査型電子顕微鏡を用いて得られた、雄のキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の右視葉のコネクトームを示す。我々は、視覚ニューロンの網羅的カタログを確立し、その解剖学的特徴を定量化する計算論的枠組みを開発した。これらのデータは、視覚ニューロンの形状が空間視覚とどのように関連するかを解釈するための基礎となる。この解析結果を、結合の情報、神経伝達物質の種類、熟練したキュレーションと統合することで、約5万3000個のニューロンが732の細胞タイプに分類された。これらの細胞タイプは系統的に詳細が明らかにされ、約半数に新たに命名された。さらに我々は、今回のニューロンタイプのカタログに対応させた、split-GAL4系統の大規模コレクションを提示する。まとめると、今回の網羅的なツールセットとデータの組み合わせは、ショウジョウバエ視覚の系統的な研究に新たな可能性を開くとともに、感覚情報処理のより深い理解のための基盤を提供するものである。

