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遺伝学:ヒトの複雑な形質に関連する細胞の空間分解マッピング
Nature 641, 8064 doi: 10.1038/s41586-025-08757-x
疾患に関連する細胞の空間分布を図示することは、疾患病理を解明する上で極めて重要である。今回我々は、遺伝的情報に基づいた、複雑形質に関する細胞の空間マッピング手法(gsMap)を提示する。この手法では、空間トランスクリプトミクスのデータとゲノム規模関連解析(GWAS)の要約統計量を統合して、細胞を疾患などのヒトのさまざまな複雑形質に、空間的に分解してマッピングする。我々は、25の器官を網羅する胚の空間トランスクリプトミクスデータセットを用い、シミュレーションを通して、また、さまざまな器官の形質に関連する既知の細胞や領域で裏付けることにより、gsMapを評価した。gsMapを脳の空間トランスクリプトミクスデータに適用したところ、統合失調症に関連するグルタミン酸作動性ニューロンの空間分布が、うつ病などの気分の特徴のものよりも認知に関わる形質のものの方に似ていることが明らかになった。統合失調症に関連するグルタミン酸作動性ニューロンは背側海馬付近に分布しており、カルシウムシグナル伝達遺伝子とカルシウム調節遺伝子の発現が亢進していたのに対し、うつ病に関連するグルタミン酸作動性ニューロンは内側前頭前皮質深部付近に分布しており、神経可塑性遺伝子と向精神薬の標的遺伝子の発現が亢進していた。我々の研究によって、形質に関連する細胞の空間分解マップを作成する法が得られ、そうしたマップを通して生物学的洞察(形質に意味を持つ細胞や関連する特徴的遺伝子の空間分布など)が得られることが実証された。

