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分子生物学:レトロマー複合体の酸化によるミトコンドリア翻訳の制御
Nature 641, 8064 doi: 10.1038/s41586-025-08756-y
活性酸素種(ROS)は、がんや神経変性疾患などのようなヒトの病気の原因となる。しかし、ROSレベルを感知し、その産生を自身のシステイン残基を介して調節するタンパク質は、いまだに明らかになっていない。今回我々は、系統立った塩基編集と計算スクリーニングを用いて、レトロマー輸送複合体の一員であるVPS35のシステインが変異すると、ミトコンドリアの翻訳阻害の表現型模写になることを突き止めた。VPS35は活性代謝産物感知経路の基盤であり、ミトコンドリアの翻訳を抑制してROSレベルを低下させることが分かった。細胞内の過酸化水素がVPS35のシステイン残基を酸化すると、レトロマーがエンドソーム膜から解離し、その後に細胞膜の再構成が起こる。ミトコンドリアの翻訳を維持するには、レトロマーの基質であるSLC7A1の細胞膜への局在が必要なことが分かった。さらに卵巣がんモデルで、VPS35レベルを低下させたり、VPS35のROSを感知するシステイン残基を酸化したりすると、シスプラチンのようなROSを産生する化学療法に対する抵抗性が生じることも示された。従って、細胞内のROSレベルがVPS35を介して細胞膜へと伝達されてミトコンドリアの翻訳を調節し、細胞質ゾルでのROS感知をミトコンドリアのROS産生と結び付けていることが明らかになった。

