再生医療:パーキンソン病に対するiPS細胞由来ドーパミン神経細胞の第I/II相試験
Nature 641, 8064 doi: 10.1038/s41586-025-08700-0
パーキンソン病はドーパミンニューロンの減少を原因とし、運動症状を呈する。胎児組織を用いた初期の細胞療法は、有望ではあったが合併症や倫理的な懸念があった。そこで、安全で効果的な治療法を開発するための有望な代替策として、多能性幹(PS)細胞が浮上した。今回の京都大学病院における第I/II相試験では、7人の患者(50~69歳)に対してiPS細胞から誘導したドーパミン神経前駆細胞の両側移植を行った。主要評価項目では安全性評価として有害事象に焦点を合わせ、副次評価項目では24カ月間にわたる運動症状の変化とドーパミン産生を評価した。重篤な有害事象は認められず、軽度から中等度の有害事象が73件生じた。治療上の調整が必要にならない限り、患者に対する抗パーキンソン病薬の投与量を維持したところ、ジスキネジア(不随意運動)の増加が見られた。磁気共鳴画像検査では、移植片の異常増殖は認められなかった。有効性評価の対象となった6人の患者のうち、国際パーキンソン病・運動障害学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)パートIIIのOFFスコアの改善を示したのは4人、ONスコアの改善を示したのは5人だった。6人全員の平均では、OFFスコアでは9.5ポイント(20.4%)、ONスコアでは4.3ポイント(35.7%)改善した。Hoehn–Yahr重症度分類では4人の患者が改善した。被殻でのフッ素-18-L-ジヒドロキシフェニルアラニン(18F-DOPA)の流入速度定数(Ki)の値は44.7%増加し、高用量群での増加がより大きかった。他の測定値の変化は最小限だった。この治験(jRCT2090220384)の結果は、同種iPS細胞由来ドーパミン神経前駆細胞が腫瘍を形成することなく脳内に生着してドーパミンを産生することを実証し、安全性とパーキンソン病に対する臨床的有益性の可能性を示唆している。

