Article
量子コンピューティング:ブレークイーブンを超えるキューディットの量子誤り訂正
Nature 641, 8063 doi: 10.1038/s41586-025-08899-y
ヒルベルト空間の次元は量子情報処理にとって重要な資源である。大きい全ヒルベルト空間が量子誤り訂正にとって不可欠な要件であるだけでなく、大きい局所ヒルベルト空間もまた、ゲートやアルゴリズムをさらに効率的に実現する上で有利となり得る。その結果として近年、量子情報の基本単位としてキューディット(d > 2のd次元量子系)を用いた量子コンピューティングプラットフォームの開発に多大な実験的取り組みが行われている。こうしたキューディットの量子誤り訂正は、キュービットの場合と同様、長期的には必要となるが、これまでのところ、論理キューディットの誤り訂正は実験的に実証されていない。今回我々は、Gottesman–Kitaev–Preskillボソニック符号を用いて、誤り訂正された論理キュートリット(d = 3)と論理キュークォート(d = 4)を実験的に実現したことを報告する。我々は強化学習エージェントを用いて、Gottesman–Kitaev–Preskillキュートリット(キュークォート)を三進(四進)量子メモリーとして最適化し、1.82 ± 0.03(1.87 ± 0.03)の利得でブレークイーブンを超える誤り訂正を達成した。今回の成果は、調和振動子の大きなヒルベルト空間を活用してハードウエア効率の高い量子誤り訂正を実現する新しい方法を示している。

