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構造生物学:色素体/寄生菌のATP/ADP輸送体の構造と機構

Nature 641, 8063 doi: 10.1038/s41586-025-08743-3

アデノシン3リン酸(ATP)は全ての生きた細胞の主なエネルギー通貨である。ヒトの病原体であるトラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)や発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)のような、代謝的に欠陥のある絶対細胞内寄生菌は、その宿主の細胞から独自のATP/アデノシン二リン酸(ADP)輸送体を介してATPを獲得でき、このような輸送体は寄生菌細胞へのATPの取り込みとそこからのADPとリン酸の排出を媒介するので、宿主細胞の貯蔵エネルギーを搾取すること(エネルギー寄生ともいう)ができる。このタイプのATP/ADP輸送体は、原生生物の偏性細胞内共生体や植物の色素体、藻類にも存在し、細胞内共生に重要な役割をしていると考えられている。色素体/寄生菌型のATP/ADP輸送体は、ミトコンドリアのATP/ADP輸送体とは系統学的にも機能的にも異なっていて、その構造と輸送機構はまだ知られていない。今回我々は、ATP/ADP輸送体の2種類の色素体/寄生菌タイプについて、アポ状態と基質結合状態のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。ATP/ADP結合ポケットは、輸送体のNドメインとCドメイン間の界面に位置していて、ポケット中の保存されたアスパラギン残基は基質特異性に非常に重要である。輸送体は、2つのドメインの剛体としての相対的な回転を含む、ロッカースイッチ式の交互アクセス機構により動作している。我々の結果から、エネルギー寄生や内共生での膜を介したATP輸送を理解するための非常に重要な知見が提供され、絶対細胞内寄生体に対する薬剤開発のための構造学的基盤が与えられる。

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