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ナノスケール材料:ツイスト2層グラフェンにおけるフォノンの量子ツイスト顕微鏡法

Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08881-8

電子とフォノンの結合は、固体における基本的相互作用の1つであり、抵抗率、熱伝導性、超伝導などの幅広い現象の基礎となっている。しかし、個々のフォノンモードについてこの結合を直接測定することは、依然として非常な難題である。本研究で我々は、ファンデルワールス(vdW)材料においてフォノンの分散と電子–フォノン結合(EPC)をマッピングする新しい手法を提示する。我々は、量子ツイスト顕微鏡(QTM)を極低温に一般化することによって、これが、弾性運動量保存トンネリングを通じて電子分散をマッピングできるだけでなく、非弾性運動量保存トンネリングを通じてフォノン分散もマッピングできることを実証する。重要なことに、非弾性トンネル強度は、運動量分解およびモード分解EPCの直接的で定量的な尺度となる。我々はこの手法を用いて、ツイスト角が6°より大きいツイスト2層グラフェン(TBG)のフォノンスペクトルとEPCを測定した。注目すべきことに、運動量がゼロになるにつれて電子との結合を減少させる標準的な音響フォノンとは異なり、TBGが、ツイスト角の減少とともに結合を増加させる低エネルギーモードを示すことが見いだされた。我々は、この特異な結合が、このモアレ系の層非対称な「フェイゾン(phason)」モードによる層間トンネリングの変調から生じることを示す。今回実証された手法は、量子材料におけるプラズモン、マグノン、スピノンなど、電子トンネリングに結合する他のさまざまな中性集団モードを調べる道を開く。

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