Article
火山学:アキシャル火山下のリソスフェア–アセノスフェア境界に沿ったメルトの集中
Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08865-8
海底拡大中心の下では、リソスフェア–アセノスフェア境界(LAB)は透過障壁として働いており、マントル内部の深部から拡大軸に向けて集中的にメルトを輸送させる。拡大速度が中速から高速の海嶺頂上では、マルチチャンネル反射法地震探査から、LABの最上部を規定する、ほぼ平坦で幅が1~2 kmの軸方向マグマレンズ(AML)の画像が得られているが、地殻深部でのLABの性質はより捉えどころがなく、トモグラフィー画像の手掛かりからはAMLの直下に位置する広がった光輪状の低速度物質の曖昧な像しか得られていない。今回我々は、ファンデフカ海嶺とコッブ–アイケルベルグ(Cobb–Eickelberg)ホットスポットの交点に位置するアキシャル火山の下の地殻深部(5~6 km)に広がったLABの3D地震反射法画像を提示する。LABの3D形状は、熱的に支配されたマグマ同化フロントと一致しており、ホットスポット関連および大洋中央拡大中心関連の火成活動を火山の中心に向かって集中させ、噴出プロセスと熱水プロセスの両方、および噴出した溶岩の化学組成を支配している。このような状況では、LABはメルト体が存在する「マグマ領域」の上面と見なすことができる(これは、単一の「マグマだまり」という概念を置き換えるものである)。この漏斗状の地殻LABの発見は、熱的に支配されたマグマの同化が、アイスランドなどの他の火山系でもこの表面に沿って起きている可能性があることを示唆している。

