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微生物学:ビフィズス菌は乳児のワクチン応答の最適化を助ける

Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08796-4

抗生物質への曝露がワクチンへの応答低下につながる可能性を示す証拠が増えているが、この関連の根底にある機構はほとんど解明されていない。今回我々は、191人の健康な経膣分娩正期産児を出生から15カ月齢まで前向きに追跡し、システムワクチン学の手法を用いて、抗生物質曝露が予防接種への免疫応答に及ぼす影響を評価した。その結果、分娩時の抗生物質曝露ではなく、新生児への直接の抗生物質曝露が、7カ月齢での13価肺炎球菌結合型ワクチン中のさまざまな多糖類や、6種混合ワクチンのインファンリックスヘキサ中のヘモフィルスインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型のポリリボシルリビトールリン酸およびジフテリアトキソイド抗原に対する抗体価の有意な低下と関連していることが分かった。新生児期に抗生物質に曝露された乳児の血液では予防接種前に炎症性の転写プロファイルが認められ、さらに、糞便メタゲノミクスから、これらの乳児では予防接種時にビフィズス菌属(Bifidobacterium)の種の存在量が減少していることが分かり、これは6カ月後のワクチン抗体価の低下と相関していた。前臨床モデルでは、13価肺炎球菌結合型ワクチンへの応答は、無傷の微生物相に強く依存していたが、無菌マウスにおいてビフィズス菌属の種のコンソーシアム、あるいは新生児治療室で既に広く使用されているプロバイオティクス製剤を投与することで回復させることができた。我々のデータは、微生物相を標的とした介入によって、新生児期の抗生物質曝露によるワクチンの免疫原性への有害な影響を軽減できることを示唆している。

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