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生化学:RAD52の二重の環が複製フォークを改造してフォークの反転を妨げる
Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08753-1
ヒトRAD52は多機能のDNA修復タンパク質で、ゲノムの安定性を支えるいくつかの細胞事象に関わっており、その中には停止したDNA複製フォークを過度の分解から守る働きもある。門番としての役割では、RAD52は複製ストレスの際に停止した複製フォークに結合して安定化し、複製フォークがSMARCAL1モーターによって反転するのを防いでいる。RAD52を介した複製フォークの保護機構については、構造的にも分子レベルでもまだ解明されていない。今回我々は、P1ヌクレアーゼに対する感受性、生化学解析、単一分子解析を用いて、RAD52が自身の鎖交換活性を介して複製フォークを活発に再構築することを明らかにした。複製フォークに一本鎖DNA結合タンパク質RPAが存在すると、鎖交換反応の動態が調節されるが、反応の帰結は変化しない。分子量光度法と単粒子クライオ電子顕微鏡法によって、複製フォークが独特な核タンパク質構造を促進することが判明した。この構造では、頭部–頭部配置をとっている2個の環状のRAD52十一量体が含まれ、正電荷を帯びた1個の長く伸びた表面があり、そこに複製フォークの3本の腕全てが収容される。この表面の形成と連続性が鎖交換反応やSMARCAL1との競合に重要であると、我々は考える。

