神経科学:GluA2を含むAMPA受容体はCa2+透過性チャネル連続体を形成する
Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08736-2
哺乳類の脳での速い興奮性神経伝達は、陽イオン選択的なAMPA(α-アミノ-3ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸)受容体(AMPAR)を介して起こる。AMPARは、Hebbの可塑性による学習機構や記憶機構、グルタミン酸作動性シナプスの恒常性維持に極めて重要であり、最近の研究でAMPARのミスセンス変異が自閉症や知的障害の原因になり得ることが明らかにされている。AMPARは四量体で、機能的に異なる2つのグループに分けられている。その基準はCa2+透過性を決定するGluA2サブユニットを含むか含まないかで、それはRNA編集で決まる。GluA2を含むAMPARは中枢神経系に最も多く存在し、Ca2+透過性がないと考えられている。今回我々は、これが事実と異なることを明らかにした。従来の見方とは対照的に、GluA2を含むAMPARは、Ca2+透過性の程度がさまざまなポリアミン非感受性イオンチャネルの連続体を形成している。これらのチャネルのCa2+輸送能力は、AMPAR四量体のサブユニット組成によって変わるだけでなく、膜貫通型AMPAR調節タンパク質とコーニション補助サブユニットの空間的配位によっても変わる。Ca2+は、2価イオンが小孔の選択フィルターを通過するのを助ける細胞外結合部位にドッキングすることによって、イオン伝導経路を通過する。ただし、Ca2+透過性のダイナミックレンジは、補助サブユニットが主として選択フィルターを修飾することによって生じる。これらの知見を総合すると、AMPARは哺乳類の脳におけるCa2+シグナル伝達に幅広い役割を担っていると我々は考えており、この研究によりミスセンス変異の病原性について、機構面からの見通しを提供する。

