発生生物学:細胞骨格による細胞の形状の動的な調節はリンパ管内皮のレジリエンスを支える
Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08724-6
毛細リンパ管は間質液を継続的に取り込んで、その結果生じたリンパ管内径の変化に適応する。緩く結合したリンパ管内皮細胞(LEC)の透過性単層が、どのような仕組みで機械的安定性を維持しているのかは、まだ解明されていない。今回我々は、等方的な伸展によって引き起こされるLEC形状の細胞骨格による動的調節が、皮膚の毛細リンパ管の完全性と機能に不可欠であることを明らかにした。オウシュウナラの葉の形をしたLECは、小葉状細胞間境界面でVE-カドヘリンに基づく多様な接続構成を示し、凹領域には微小管を、凸状の小葉にはFアクチンを配置する独特な細胞骨格構成を持つことが分かった。毛細リンパ管LECの形状とアクチンについて、マルチスペクトルの長期的な生体画像化を行ったところ、in vivoでの恒常性維持の際や間質液量増加への応答時に、細胞の重なりが動的に再構築されることが明らかになった。植物表皮のジグソーパズル型細胞と同様に、LECの形状はRho GTPアーゼCDC42が調節する細胞骨格の動的変化によって制御されていて、単層の安定性を高めていることが分かった。また、初代LECでは、周期的な等方的伸展が細胞の重なりを増やし、接合部の湾曲を強めた。これらの知見は、毛細リンパ管LECの形状は、細胞の重なりが絶えず再構築される結果であり、この再構築はリンパ管の完全性を保ちつつ、リンパ管の拡張と間質液取り込みに対応した透過性のある細胞間接着を維持することを示している。我々は、流体が誘発する管腔の拡張とLECの重なりの縮小が、アクチンに基づく葉状仮足に似た重なりの伸展によって相殺され、それによりリンパ管の収縮を助けるという、ふいご様の流体推進機構を提案する。

