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免疫学:クローナルバースト中に高頻度変異を一時的にサイレンシングするとB細胞の親和性が維持される

Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08687-8

抗体の親和性成熟の間に、胚中心(GC)B細胞では、体細胞高頻度変異(SHM)として知られる過程で、免疫グロブリンの重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子に変異が生じる。その後、抗原に対する結合親和性が異なる変異型B細胞のパネルが、ダーウィン的方法で選択され、集団内で親和性が徐々に高まる。あらゆるダーウィン的過程と同様に、まれな適応度獲得変異が特定され、ありふれた適応度喪失変異が回避されなければならない。従って、変異の漸進的な獲得は、GC B細胞が親和性に基づく選択を受けずに複数の細胞周期を経る大規模な増殖バーストの際にリスクとなる。今回我々は、in vivoのマウス実験と数学的モデル化を組み合わせて用い、GCがクローナルバースト型の増殖中にSHMを強力に抑制することでこのバランスを達成し、その結果、これらのバーストによって生じた子孫細胞の大部分が祖先の遺伝子型から逸脱しないことを示す。サイクリン依存性キナーゼ2(CDK2)活性のレポーターを持つマウス系統の生体内画像化法および画像ベースの細胞ソーティングにより、活発に増殖性バーストを起こしているB細胞には、細胞周期の一時的なCDK2low「G0様」期(その時にSHMが起こる)が欠如していることが示された。我々は、慣性的に細胞周期が起こっているB細胞は主に、GC暗帯での最後の分裂周期に続くG0様期までSHMを遅らせることで、選択がない状態でクローン増殖する際に親和性を維持しているというモデルを提案する。

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