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遺伝学:脊髄髄膜瘤に対するde novoコーディング変異の関与
Nature 641, 8062 doi: 10.1038/s41586-025-08676-x
脊髄髄膜瘤(二分脊椎症とも呼ばれる)は、神経管閉鎖不全に起因する遺伝的に複雑な疾患と考えられている。脊髄髄膜瘤の患者では運動神経機能障害と水頭症が高頻度に見られ、脳室シャント手術が必要となる。疾患感受性に関与するものとして、少数の遺伝子が提唱されているが、それ以上のことは明らかにされていない。我々は、純化選択下にあるde novo変異が、脊髄髄膜瘤の発症リスクに関与するのではないかと考えた。本研究で我々は、出生時にシャント手術を必要とした脊髄髄膜瘤患者とその両親の3人組851組からなるコホートと対照群の3人組732組を募集し、de novoと思われる遺伝子破壊と有害なミスセンス変異が被験者の約22.3%で起きており、そうしたバリアントの28%が疾患リスクに関与すると推定されることを見いだした。有害なde novo変異を有する187個の遺伝子に基づいて、アクチン細胞骨格や微小管に基づく過程、ネトリン1シグナル伝達、クロマチン修飾酵素を含むネットワークが規定された。遺伝子検証では、部分的あるいは完全な機能喪失、シグナル伝達障害、アフリカツメガエル(Xenopus)胚での神経管閉鎖不全が実証された。我々の結果は、de novo変異が脊髄髄膜瘤リスクの主要な要因であることを示すとともに、ヒト胚発生における神経管閉鎖に必要とされる重要な経路を浮き彫りにしている。

