環境科学:海洋表面下のマイクロプラスチック存在量分布
Nature 641, 8061 doi: 10.1038/s41586-025-08818-1
海洋プラスチック汚染は世界的な問題であり、観測されるプラスチックの個数の多くはマイクロプラスチック(1 µm~5 mm)が占めている。マイクロプラスチックは海洋の水柱全体に存在しているが、これまでの多くの研究では、曳網によって海表面(50 cm以浅)に浮遊するマイクロプラスチックが採取されてきた。そのため、水深によるマイクロプラスチックの分布に関する理解は限定的である。今回我々は、2014〜2024年に収集された1885地点の深度別分布データを統合し、海洋水柱全体におけるマイクロプラスチックの分布と、これまでの手法では把握されてこなかった海面下(約50 cm以深)への輸送メカニズムについて新たな知見を提示する。解析の結果、マイクロプラスチックの存在量は1 m3当たり10−4個から104個に及ぶことが見いだされた。マイクロプラスチックのサイズはその分布に影響を及ぼしており、小型のマイクロプラスチック(1~100 µm)の存在量は水深とともに徐々に減少しながらも、水柱全体により均等に分布し、より長く滞留する傾向がある。一方、大型のマイクロプラスチック(100~5000 µm)は、水柱内の成層構造の層に集中する傾向が見られた。亜熱帯還流中央部の集積帯は海面下にも広がっているが、その分布は主に上層100 mに集中し、主に大型のマイクロプラスチックから構成されていた。また、マイクロプラスチックは総粒子状有機炭素(POC)の中で定量可能な割合を占めていることが示唆され、水深30 mでは0.1%だが2000 mでは5%にまで増加していた。今回の研究は、海洋水柱におけるマイクロプラスチック分布の全球的な基準を打ち立てたものの、我々の知見は、標準化手法の欠如が大きな不確実性を生み出しており、それがマイクロプラスチックの分布やその海洋環境への影響を深く理解する上での大きな障壁となっていることを浮き彫りにしている。

