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構造生物学:複製ヘリカーゼによるDNAの巻き戻しの構造力学

Nature 641, 8061 doi: 10.1038/s41586-025-08766-w

六量体ヘリカーゼはヌクレオチドを原動力とする分子機械で、生命のドメイン全てにわたってDNAを巻き戻して複製を開始させる。何十年もかけて徹底的な研究が行われてきたにもかかわらず、ヘリカーゼの機能にとって重要ないくつかの特徴(DNA鎖分離の起こる部位や機構、巻き戻し進行の力学的性質、ヌクレオチド加水分解とDNAの動きの動的な関係など)は、いまだに解明されていない。今回我々は、クライオ電子顕微鏡法(クライオEM)を用いて、サルウイルス40のラージT抗原(LTag)ヘリカーゼが複製起点に頭部と頭部が結合する様式の六量体を形成し、対称的に位置する2カ所の部位でDNAをほどいて、双方向性の複製フォークを構築することを明らかにした。連続的な不均一性解析を通して、複製フォークを形成したDNA上のLTagのコンホメーションの全体像を、触媒条件下で詳しく調べ、協調のとれた動きがDNAの転位と巻き戻しを推進することを明らかにした。ヘリカーゼはサイクル過程によって、中央のチャネルを裏打ちしているDNA結合ループを介してトラッキング鎖を引っ張り、非トラッキング鎖を後部へと誘導することが分かった。ATP加水分解は「エントロピースイッチ」として働き、DNAを直接動かすのではなく、転位の障害を取り除くように働いていた。これらの構造から、ヌクレオチドの代謝回転とサブユニットの動きがアロステリックに共役していて、それによってDNAを巻き戻しながら、分離した鎖のための専用の出口通路を維持できることが示された。これらの知見から、複製フォークの確立と進行に関して、ウイルスから真核生物システムにまで適用できる包括的なモデルが得られる。さらに幅広く言えば、これらの知見によって、ATP依存性酵素がエントロピーによって駆働するアロステリック効果を介して力学的仕事を効率良くやり遂げる仕組みの基本原理が明らかになった。

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