免疫学:STINGアゴニストを用いた小胞体標的化分子は抗原クロスプレゼンテーションを増強する
Nature 641, 8061 doi: 10.1038/s41586-025-08758-w
CD8+ T細胞免疫応答は、感染症や腫瘍に対抗するために重要である。抗原クロスプレゼンテーションは主に樹状細胞の小胞体(ER)で起こり、タンパク質をベースにしたワクチンがCD8+ T細胞応答を誘導するのに必須である。現在の取り組みは組織レベルや細胞レベルでの抗原送達に重点が置かれており、細胞内での送達は、抗原の細胞質ゾルへのリソソーム脱出を促進することに限られていた。小さなサイズの高親和性小胞体標的化分子は存在せず、細胞質ゾルから小胞体への「ラストマイル」の重要性はまだ明らかにされていない。今回我々は、STING(stimulator of interferon genes)アゴニストを用いた小胞体標的化分子(SABER〔STING agonist-based ER-targeting molecule〕)を開発した。SABERは抗原を小胞体へ効果的に送達し、抗原クロスプレゼンテーションの主要な装置を集結させ、小胞体膜を折りたたむことによってマイクロリアクターを形成する。SABERをさまざまな抗原に結合させると、腫瘍ネオアンチゲンや保存されたウイルスエピトープに対するCD8+ T細胞免疫応答の誘導を大きく増強し、これは抗原とSTINGアゴニストあるいは従来のアジュバントとの混合物による誘導をはるかに上回っていた。SABERは強力なアジュバント効果も保持しており、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)サブユニットワクチンが広域中和抗体を誘導する能力を効果的に高めた。本研究は、高親和性小胞体標的化送達系とワクチンアジュバントを示し、クロスプレゼンテーションのラストマイルを標的とする正確な細胞内送達は、質的な飛躍につながる可能性を明らかにしている。

