免疫学:グランザイムKは補体カスケード全体を活性化する
Nature 641, 8061 doi: 10.1038/s41586-025-08713-9
グランザイムは、CD8+ T細胞、ナチュラルキラー細胞、自然リンパ球が主に発現するセリンプロテアーゼファミリーの1つである。その主な機能は、ウイルス感染細胞や腫瘍における細胞死の誘導と考えられているが、これまでの証拠から、一部のグランザイムは細胞外の基質に作用することで炎症を引き起こし得ることが示されている。我々はこれまでに、関節リウマチの滑膜や他のいくつかの疾患で炎症が起こった器官において、組織のCD8+ T細胞の大部分が、機能がほとんど解明されていないトリプターゼ様プロテアーゼであるグランザイムK(GZMK)を発現していることを見いだした。今回我々は、GZMKがC2やC4のタンパク質を切断することで補体カスケードを活性化できることを示す。新たに生じたC4bとC2bの断片は、C3を切断するC3転換酵素を形成し、C5を切断するC5転換酵素の組み立てを可能にする。結果として生じるこれらの転換酵素によって、補体カスケードの全てのエフェクター分子、すなわち、アナフィラトキシンのC3aおよびC5a、オプソニンのC4bおよびC3b、膜侵襲複合体が作り出される。関節リウマチの滑膜では、GZMKは補体活性化がよく見られる領域に豊富に存在し、また、繊維芽細胞がGZMKを介した補体活性化の基質となる補体タンパク質の主な産生細胞である。さらに、Gzmk欠損マウスは炎症性疾患を有意に防ぎ、補体活性化の低下を伴って、関節炎や皮膚炎の軽減を示す。我々は、リンパ球由来のGZMKのみによって駆動される、これまで明らかでなかった補体活性化機構を発見した。慢性炎症性疾患の組織にはGZMK発現T細胞が広く豊富に存在することを考えると、GZMKを介した補体活性化は、さまざまな疾患において組織の炎症に関わる重要な要因であると考えられる。

