地球物理学:イエローストーンのマグマ系の揮発性物質に富む明瞭な蓋
Nature 640, 8060 doi: 10.1038/s41586-025-08775-9
危険な火山系の安定性は、最上部のマグマだまりの深さと揮発性物質の離溶に強く影響を受ける。イエローストーン・カルデラ下の上部地殻マグマだまりについては多くの証拠があるにもかかわらず、その深さとその頂部における性質は十分に絞り込まれていない。新しい制御震源地震探査によって、カルデラ北東部の地下約3.8 kmにマグマだまりの反射する明瞭な蓋が存在することが明らかになっている。そうした低圧部へのマグマの上昇は、揮発性物質の離溶を駆動し、マグマだまり頂部近傍に局所的に泡を蓄積する可能性があると思われるが、こうした過程は現在の火山系では一般的に隠れたままとなっている。イエローストーンのマグマだまりの明瞭な頂部からのP波とP–S波の反射は、超臨界流体とマグマの混合物が、地震波トモグラフィーによって画像化された深さ約3~8 kmにある低剪断速度層の蓋で空隙を満たしていることを示している。この結果は、揮発性物質に富むマントル源から継続的にマグマが供給されている上部地殻のマグマだまりから離溶した泡が部分的に保持されていることと一致する。泡の蓄積は、結果的にマグマだまりの不安定性につながり得るが、地震学的に見積もられる現在のマグマだまり頂部の泡の体積分率は、流紋岩の噴火前条件の典型的な見積もりより低く、熱水系の測定は、高流量のマグマ性の揮発性物質が地表へ逃げていることを示している。我々は、このマグマだまりが、泡が流路を通って逃げて不安定性を妨げることが力学的モデルによって裏付けられている、結晶に富む(空隙率30%以下)ものであるという見積もりに基づいて、泡が効率よく熱水系に上昇する安定状態にあると推測する。

