Article

腫瘍免疫学:VDAC2の喪失はがん治療に対して腫瘍破壊と炎症を引き起こす

Nature 640, 8060 doi: 10.1038/s41586-025-08732-6

腫瘍細胞はCD8+ T細胞や免疫療法による免疫圧をしばしば回避するが、その機構についてはほとんど解明されていない。本研究で我々は、代謝因子を標的とするin vivoとin vitroでの相補的なCRISPR–Cas9遺伝的スクリーニングを用いて、電位依存性陰イオンチャネル2(VDAC2)が、免疫シグナル依存的チェックポイントとして、インターフェロンγ(IFNγ)を介した腫瘍破壊と、腫瘍微小環境の炎症性再プログラム化を抑制することを明らかにする。腫瘍細胞でVDAC2を標的化すると、IFNγ誘導性の細胞死とcGAS–STING活性化が可能になり、抗腫瘍効果と免疫療法応答が著しく改善した。我々は、ゲノム規模の遺伝的相互作用スクリーニングを用いて、BAKがVDAC2欠損誘導性の作用のメディエーターであることを突き止めた。機構的には、IFNγ刺激によってBIM、BIDおよびBAKの発現が増加し、VDAC2欠損によって制御不能なIFNγ誘導性のBAK活性化とミトコンドリア損傷が引き起こされる。その結果、ミトコンドリアDNAが細胞質ゾルに異常に放出され、cGAS–STINGシグナル伝達のロバストな活性化とI型IFN応答を引き起こした。重要なことに、STINGシグナル伝達構成要素の共欠失は腫瘍細胞におけるVDAC2枯渇の治療効果を弱めた。このため、VDAC2の標的化は、CD8+ T細胞とIFNγを介した適応免疫を、腫瘍固有の自然免疫様応答に統合することが示唆される。まとめると、我々の知見は、VDAC2が腫瘍の免疫回避を克服するための二重作用標的であり、有効ながん免疫療法を可能にするには、協調的に腫瘍を破壊し、腫瘍で炎症を引き起こすことが重要であることを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度