Article

微生物学:細菌リボソームを標的とする広域スペクトルの投げ縄型ペプチド抗生物質

Nature 640, 8060 doi: 10.1038/s41586-025-08723-7

投げ縄型ペプチド(構造的な制約がある独特の結び目構造を有する生物活性分子)は、リボソーム翻訳系翻訳後修飾ペプチド(RiPP)クラスに属する天然産物である。投げ縄型ペプチドは複数の細菌標的に作用するが、細菌細胞における抗生物質の主要な標的の1つであるリボソームを阻害するものは報告されていない。本論文で我々は、パエニバチルス属細菌の一種(Paenibacillus sp.)のM2株が産生する投げ縄型ペプチド抗生物質ラリオシジン(lariocidin)とその内部環化誘導体ラリオシジンBを特定して特性評価を行い、これが広範な病原菌に対する広域スペクトル活性を持つことを報告する。我々は、ラリオシジン類はリボソームに結合してタンパク質合成を妨げることで、細菌の増殖を阻害することを示す。構造学的、遺伝学的、生化学的なデータから、ラリオシジン類がリボソーム小サブユニットの中のユニークな部位に結合し、そこで16SリボソームRNAとアミノアシル-tRNAと相互作用し、リボソームの移動を阻害して誤翻訳を誘導することが明らかになった。ラリオシジンは通常の耐性機構には影響されず、自然な耐性が生じる傾向は低く、ヒト細胞に対する毒性はなく、またアシネトバクター属細菌のAcinetobacter baumannii感染のマウスモデルでは、in vivoで強力な活性を示した。リボソームを標的とする投げ縄型ペプチドが見つかったことで、代替のタンパク質合成阻害剤を発見するための新たな経路が明らかとなり、強く望まれている抗菌薬を開発するための新たな分子骨格がもたらされた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度