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植物科学:TIR1が生産するcAMPが転写性のオーキシンシグナル伝達において二次メッセンジャーとして働く
Nature 640, 8060 doi: 10.1038/s41586-025-08669-w
植物ホルモンのオーキシン(Aux)は、植物の主要な内因性発生シグナルであり、詳しく明らかになっているカノニカルなシグナル伝達機構により転写の再プログラム化を仲介する。TIR1/AFBオーキシン受容体はユビキチンリガーゼ複合体のF-ボックスサブユニットで、オーキシンを感知すると、Aux/IAA転写リプレッサーと結合し、これをユビキチン化して分解し、これにより、転写因子であるオーキシン応答因子(ARF)を活性化できるようになる。今回我々は、TIR1のアデニル酸シクラーゼ(AC)活性がないと、オーキシンが誘発したAux/IAAの分解だけでは、転写性のオーキシン応答の誘発には不十分であることを明らかにし、これまでの見方を修正した。TIR1のAC活性を消失させても、オーキシンが誘発するAux/IAAの分解には影響しないが、転写の再プログラム化やオーキシンが調節する発生(シュート、根、根毛の成長や側根の形成など)に関して、TIR1は機能を果たせなくなる。トランスジェニック植物での実験により、Aux/IAA–ARF複合体の周辺で無関係なAC酵素によって局所的にcAMPが生産されると、オーキシン感知の必要性が回避され、それだけでARFを介した転写を誘導するのに十分であることが明らかになった。これらの知見により、オーキシンシグナル伝達のカノニカルなモデルが修正され、TIR1/AFBが生産するcAMPが、転写の再プログラム化に不可欠なセカンドメッセンジャーであることがはっきりと示された。

